成長のプロセス

Nov. 29, 2017

 最初の6戦を終えて2勝4敗という成績は、ジョージ・ワシントン大学にとってもちろん満足できるものからはほど遠いはずだ。開幕から2勝1敗の後、地元でライダー大に、ラスベガスで開催されたラスベガス・インビテーショナルではザビア大、カンザス州立大に敗れて3連敗。ラスベガスでの2試合では強豪相手でも後半まで僅差で粘っていただけに、勝ちきれなかったのは残念だった。

 もっとも、今季序盤戦の苦戦は予想できないことではなかった。昨季のエースだったタイラー・キャバナー(現アトランタ・ホークス)が抜けたのをはじめ、この1年で多くのメンバーが入れ替わった。1年生は4人、2年生は5人を数える若いチームだけに、少し長い目で見る必要があるのだろう。

 

 

 「メンバーの入れ替えはかなりあって、経験が少ない選手が多い。そういった意味では去年に似ています。昨季も終盤になるにつれて良くなっていきました。去年よりも少し早くチームを修正して、波に乗れば良いチームになれると思っています」

 4年生を迎えた渡邊雄太はそう述べたが、実際に今季のジョージ・ワシントン大は昨季のチームと共通点が多いように思える。 

 渡邊が1〜2年生を過ごした2014〜15、2015〜16年のGWは、上級生が軸となったベテランチームだった。特にキャバナー、パトリシオ・ガリーノという2人の未来のNBAプレーヤーを擁し、ジョー・マクドナルド、ケビン・ラーセン、渡邊といった好選手が周囲を固めた2015〜16年のチームは、今思い返してもNCAAトーナメントに出場できなかったのが不思議なくらい。最初の12戦中11勝を挙げながら、中盤に調子を落としたがゆえに“マーチマッドネス”は逃したものの、NITトーナメント優勝を果たして溜飲を下げることになる。

 そんな2年前のチームから一気に主力が抜けて、去年はキャバナー、渡邊を軸とするチームに新たに作り直しになった。昨季26戦を終えた時点で13勝13敗(A10カンファレンスのゲームでは5勝8敗)と前半戦は苦戦したが、徐々に攻守がかみ合い、2月19日から6連勝。A10トーナメントでは準々決勝でリッチモンド大に惜敗したものの、シーズンを通じてまとまっていく姿は見応えがあった。

 迎えた2017〜18年も同じように辛抱強くペースを上げ、苦しみながらも向上していくのが目標になる。今季のチームの要は渡邊、パトリック・スティーブス、ジャイア・ボールデンという3人。実績のあるトリオを中心に、来春までに戦力をどれだけ底上げできるかがポイントだろう。

 「去年と比べると身体能力が高い選手は多いので、そこは強みですね。ディフェンス面でコーチが指示した通りにちゃんとできたときはうまくいっています。まだまだ修正する部分は多いですが、若い分、調子にのったときは勢いがある。あとは試合の入り方をきっちりしていけば良いチームになると思います」

 ライダー戦で敗れた後、渡邊は今後の鍵としてディフェンスの向上をあげていた。今季のメンバーはサイズに欠けるため、守備時の激しいプレッシャーは不可欠。「高さで負けている分、動きの量で相手に勝たないと」という渡邊の言葉通り、身体能力と若さを生かした運動量、機動力がチームの武器になっていくのかもしれない。

 「テリー・ノーランJr.はいつもアグレッシブで、フロリダ州立大戦でも活躍してくれました。彼は1年生ですし、試合を経験するごとにどんどん良くなっていくはずです。アルナルド・トロはゴール下でいつも身体を張ってくれる。彼ら2人を含め、スターターの5人はチームの軸として常にやっていかなければいけないと思います」

 今後のポイントとなる選手を訊くと、渡邊は1年生のノーラン、2年生のトロという2人の名前を挙げた。開幕戦では豪快なダンクを連発して地元アリーナを沸かせたボー・ジグラーまで含め、ローテーションに入るメンバーが今後にどれだけ伸びていくか。

 接戦を落としての序盤戦の連敗は痛いが、ランキング上位のチームが相手でも食い下がる粘り強さに希望は感じさせる。「去年より良いチームになれる」と自信を持って述べた渡邊の言葉は単なる身びいきではあるまい。ポテンシャルは確実に備えている。来春までにどれだけ一丸となり、ケミストリーを奏でられるか、長い成長のプロセスはまだ始まったばかりである。

@GW_MBB

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